金蟾
金蟾 · 蟾蜍 · 招財蟾蜍
財を招くとされる中国の三本足の蟾蜍。口に銅銭をくわえ銭の山の上に坐し、背に北斗七星の斑を持つ。月に住む蟾蜍に由来し、嫦娥が変じたという伝承と結びつく。口を家の内側へ向けて置くのが風水の作法である。
解説
概要
金蟾(きんせん)は、中国で財を招くとされる三本足の蟾蜍である。招財蟾蜍とも呼ばれ、口に銅銭をくわえ、銭の山の上に坐る姿で表される。満月の夜に現れるとされ、今日の中華圏で最も広く用いられる風水の縁起物の一つになっている。
神話・物語
金蟾の後ろ足は一本しかなく、全部で三本足である。これは月に住むとされた蟾蜍に由来する。中国では、月には兎だけでなく蟾蜍もいると考えられた。不死の薬を飲んで月へ逃れた嫦娥が蟾蜍に変じたという伝承もあり、月面の模様を蟾蜍と見る観察がその根にあるとみられる。
口に一枚の銅銭をくわえ、積み上げた銅銭の上に坐り、背には北斗七星の斑があるという姿が典型である。商店や家庭に置く際には、財が外へ逃げないよう口を家の内側に向けるのが作法とされ、夜は銭をくわえさせずに伏せておき、朝に向きを直すという習わしもある。
道士の劉海が、井戸に落ちたこの蟾蜍を、金の銭を結んだ紐で釣り上げたという話がある。「劉海戯蟾」と呼ばれるこの場面は、全真教の祖の一人とされる実在の道士、劉操(号は海蟾)に由来する。号の「海蟾」が蟾蜍と結びつき、実在の道士が伝説の主人公になったとみられる。
図像と象徴
三本の足が、ふつうの蟾蜍と見分けるしるしになる。本サイトの主画像は、金蟾の置物である。
系譜と関係
嫦娥と月の蟾蜍の伝承、道士劉海の伝説と結びつく。
文化的足跡
金蟾は、中華圏のみならず日本や東南アジアの中華街でも、縁起物として広く売られている。
なお道教と中国の民間信仰は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。