イスタクシワトル
イスタクシワトル · イシュタクシワトル · 白い女
メキシコ中央部の休火山であり、その稜線が横たわる女に見えることから「白い女」と呼ばれる。恋人ポポカテペトルの戦死の誤報に悲嘆して死に、彼が遺体を山上に運んで傍らで松明を掲げたという。ただしこの恋物語は19世紀の成立である。
解説
概要
イスタクシワトル(イシュタクシワトル。ナワトル語で「白い女」)は、メキシコ中央部の標高5,230メートルの休火山であり、同時にアステカの伝説の人物である。
隣接するポポカテペトル(「煙る山」)と対をなす。
なお本サイトは、山そのものではなく、これに結びつく伝説の人物を扱う。
伝説
伝説によれば、イスタクシワトルはアステカの王女であり、戦士ポポカテペトルと愛し合っていた。
王は、戦から勝利して戻れば娘を与えると約束し、ポポカテペトルを戦地へ送った。
ポポカテペトルの不在中、彼を妬む者が「彼は戦死した」と偽って伝えた。悲嘆のうちにイスタクシワトルは死んだ。
帰還。 勝利して戻ったポポカテペトルは、恋人の死を知った。彼はその遺体を山の上に運び、傍らに跪いて松明を掲げた。
やがて雪が二人を覆い、二つの山になった。
イスタクシワトルは横たわる女の姿——実際に、この山の稜線は仰向けに横たわる女に見える——であり、ポポカテペトルは今も煙を上げて恋人を見守っている。
伝説の成立
この物語は、19世紀以降に広まった形である。
注意。 征服前の資料に、この恋物語は確認されない。19世紀のロマン主義的な文学のなかで整えられ、以後メキシコの国民的な伝説として定着した。
山の形と、一方が活火山であることの説明として、後代に作られた物語とみるのが妥当である。
ただし、二つの山が征服前から聖なる山として祀られていたことは確かである。トラロックの祭祀と結びつく遺構が、山中から発見されている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、イスタクシワトル山の写真である。横たわる女の稜線が見える。
関わる神格・伝承
ポポカテペトルと対をなす。トラロックの祭祀と結びつく。
文化的足跡
「イスタ=ポポ」の二山は、メキシコ中央部のどこからも見える。ディエゴ・リベラをはじめ、メキシコの美術に繰り返し描かれた。
ポポカテペトルは今日も活動しており、周辺住民の避難が繰り返されている。