イオラーオス
イオラオス · イオラーオス · Iolaus
ヘーラクレースの甥にして御者。ヒュドラー退治で斬り口を松明で焼いて再生を止めたが、この助力により功業が数に入らず十二の功業となった。老いてヘーベーに祈り一日だけ若返ってエウリュステウスを討った。
解説
概要
ギリシア神話において、イオラーオス(Iolaus)はテーバイの神的な英雄であった。ヘーラクレースの御者にして従者であること、そのいくつかの功業を助けたこと、そしてアルゴナウタイの一人であることで名高い。
イオラーオスはイーピクレースと、メガラの王アルカトオスの娘アウトメドゥーサの子であった。すなわちヘーラクレースの甥である。
プルータルコスによれば、ヘーラクレースは三十三歳の妻メガラーを、当時十六歳のイオラーオスに与えた。
神話・物語
ヒュドラー退治。 ヘーラクレースがヒュドラーの首を斬っても、そのたびに二つの首が生えた。イオラーオスは松明で斬り口を焼き、再生を止めた。これによってヒュドラーは倒された。
しかしエウリュステウスは、この功業を助力を得たものとして数えなかった。イオラーオスの働きが、功業の数を十から十二に増やす原因となる。
若返り。 ヘーラクレースの死後、その子ら(ヘーラクレイダイ)はエウリュステウスに追われた。老いたイオラーオスは彼らを守るため戦うことを望み、ヘーベーに祈って一日だけ若さを取り戻した。その日にエウリュステウスを捕らえ、殺したという。
エウリピデース『ヘーラクレイダイ』が、この場面を描く。
祭祀
テーバイにはイオラーオスの英雄廟(イオラーエイオン)があり、競技祭イオラーエイアが催された。恋人たちがその墓で誓いを立てる習俗があったとプルータルコスは記す。
ヘーラクレースとイオラーオスの関係は、古代において男性間の愛の模範として語られた。アリストテレースは、テーバイの神聖隊がこの二人に倣って誓いを立てたと記す。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、アンツィオのニュンパエウムのモザイク《ヘーラクレースとイオラーオス》である。
助力者という位置が、この人物を規定する。自らの功業ではなく、他者の功業を可能にする者である。しかしその助力が、功業の正当性を損なうという逆説も含む。
関わる神格・伝承
父はイーピクレース、伯父はヘーラクレース。妻はメガラー。アルゴナウタイの一人。
文化的足跡
サルデーニャ島には、イオラーオスがテスピオスの子らを率いて植民したという伝承があり、島の古い住民「イオラーエース人」の名祖とされた。