イオラーオス
イオラオス · イオラーオス · Iolaus
ヘーラクレースの甥にして御者。ヒュドラー退治で斬り口を松明で焼いて再生を止めたが、この助力により功業が数に入らず十二の功業となった。老いてヘーベーに祈り一日だけ若返ってエウリュステウスを討った。
解説
概要
イオラーオス(Ἰόλαος / Iolaos)は、ヘーラクレースの甥で、その御者と戦友を務めた英雄である。ヘーラクレースの異父兄弟イーピクレースの子。テーバイでは英雄として祀られ、競技祭と墓所をもった。
神話・物語
最もよく知られるのは、レルネーのヒュドラー退治での働きである。ヘーラクレースが首を一つ斬るたびに、そこから二つの首が生えた。イオラーオスは近くの森に火を放ち、燃える薪で斬り口を焼いて再生を止めた。のちにエウリュステウスは、この功業を人の助けを借りたものとして数に入れなかった(アポロドーロス2.5.2)。十の予定だった功業が十二になった理由の一つである。
イオラーオスはアルゴナウタイの一行に加わったとも、カリュドーンの猪狩りに参加したともいう。ヘーラクレースは狂気から覚めたのち、最初の妻メガラーをイオラーオスに与えた。
ヘーラクレースの死後、その子らはエウリュステウスに追われ、老いたイオラーオスは彼らを連れてアテーナイに逃れた。エウリーピデース『ヘーラクレイダイ』では、戦いを前にイオラーオスがヘーベーとゼウスに祈り、一日だけ若さを取り戻してエウリュステウスを捕らえる。別の伝えでは、この戦いのときすでに死んでいたイオラーオスが、冥界から一時戻って戦ったとされる。
図像と象徴
本サイトの主画像は、アンツィオ(ローマの南)のニュンパエウムに残るモザイク《ヘーラクレースとイオラーオス》である。
壺絵では、ヘーラクレースの傍らで戦車の手綱をとる若者、あるいはヒュドラーとの戦いで松明や鎌を持つ助け手として描かれることが多い。
系譜と関係
父はイーピクレース、母はメガラの王アルカトオスの娘アウトメドゥーサ。伯父はヘーラクレース。妻はメガラー。ヘーラクレースに率いられたテスピオスの孫たち(テスピアダイ)の植民団を導いてサルデーニャ島に渡り、そこで没したとも伝えられる(ディオドーロス4.29〜30)。
文化的足跡
テーバイにはイオラーオスの英雄廟と、その名を冠した競技祭イオラーエイアがあった。プルータルコスは、恋人たちがイオラーオスの墓の前で誓いを立てたと記し、テーバイの神聖隊の結束をこの伝統と結びつけて語っている。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。