哼哈二将
哼哈二将 · 金剛力士 · 鄭倫と陳奇
中国仏教寺院の山門を守る二人の金剛力士で、日本の仁王と同源。名は『封神演義』の鄭倫(鼻から気を「哼」と噴く)と陳奇(口から気を「哈」と吐く)に由来し、小説の人物名が寺院の守護神の名になった。
解説
概要
哼哈二将(こうかにしょう)は、中国の仏教寺院の多くの入口に立つ、二人の憤怒相の金剛杵を持つ武将である。
仏教における位置
中国仏教において、哼哈二将は金剛力士——仏教寺院の二人の守護者——の通称である。通常、山門の両側に置かれる。漢語では「那羅延」(仏の武将の従者)あるいは「夜叉神」あるいは「執金剛」と呼ばれる。
もともと仏教には那羅延(執金剛神)は一人であったが、中国に伝わったのち、対称を好む中国の伝統に従って二人に分かれたとされる。日本の仁王と同じ起源を持つ。
封神演義
「哼哈」という名は、明代の小説『封神演義』に由来する。作中、鄭倫は鼻から白い気を「哼」と噴き出して敵の魂を奪い、陳奇は口から黄色い気を「哈」と吐いて敵を倒す。二人は殷と周の敵同士であったが、ともに戦死し、姜子牙によって封神され、仏教寺院の門を守る哼哈二将となった。
小説の登場人物が、既存の寺院の守護神の名になったのである。仁王像に『封神演義』の人物名が与えられたことで、寺院の門の像と小説の物語が結びついた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、都江堰の二王廟の哼哈二将像である。
口を閉じて鼻から気を出す「哼」将と、口を開けて気を吐く「哈」将の一対である。日本の仁王の阿吽と同じく、一方が口を閉じ、他方が口を開ける。
鼻と口という二つの気の出口が、二人の武将の区別になっている。仁王の阿吽が音の始まりと終わりを表すのに対し、哼哈は攻撃の二つの方法を表す。
関わる神格・伝承
金剛力士の中国における姿。日本の仁王と同源。『封神演義』の鄭倫と陳奇。
道教の廟にも哼哈二将が置かれることがあり、仏教と道教の境界を越えて門の守護神として機能している。
文化的足跡
「哼哈二将」は、中国語で常に一緒に行動する二人組、あるいは互いに息の合った二人を指す慣用句にもなっている。
なお仏教と中国の民間信仰は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。