ダッジャール
ダッジャール · アル=マスィーフ・アッ=ダッジャール · Dajjal
イスラームの終末論で、審判の日の前に現れ、のち自らを主と称して人々を欺く偽りのメシア。クルアーンには現れずハディースで語られる。右目が見えず、額に「不信仰者」と記され、四十日のあいだ地上に留まったのち、再臨したイーサーにリッダの門で討たれる。
解説
概要
ダッジャール(アル=マスィーフ・アッ=ダッジャール、「偽りのメシア」)は、イスラームの終末論に現れる敵対者である。審判の日の前に現れて人々を欺き、やがて再臨したイーサー(イエス)に討たれる。終末の大きな徴の一つに数えられる。クルアーンには現れず、預言者の言行を伝えるハディースのなかで語られる。キリスト教の反キリストに対応する存在である。アブラハムの宗教の体系に含めて扱う。
名は「嘘、欺き」を意味する語根から作られた語で、シリア語の「偽りの、欺く」を意味する語と結びつけられる。
神話・伝承
ハディースによれば、ダッジャールは右目が見えず、左目は緑色だという。額には「不信仰者(カーフィル)」の文字が記されていて、信仰を持つ者にはそれが読めるとされる。ダッジャールはやがて自らを主と称するが、預言者は「あなたがたの主は片目ではない」と告げたと伝えられる。
ダッジャールが地上に留まるのは四十日とされ、その最初の一日は一年、次の一日は一か月、次の一日は一週間の長さをもち、残りはふつうの一日だという。そのあいだ天に命じて雨を降らせるなどして、人々を惑わす。『サヒーフ・ムスリム』のハディースは、イスファハーンのユダヤ教徒七万人がダッジャールに従うと伝える。
イーサーはダマスカスの東の白い尖塔に降り立ち、ダッジャールを捕らえて、リッダ(今日のロッド)の門で討つ。ダッジャールは、塩が水に溶けるように溶けていくという。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ダッジャールを描いた図である。
系譜と関係
イーサーに討たれる。キリスト教の反キリストに対応する。
なおユダヤ教・キリスト教・イスラームは今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその伝承と観念の歴史に関する学術的な整理である。