ケストリーノス
ケストリノス · Cestrinus · Kestrīnos
ヘレノスとアンドロマケーの子。異父兄モロッソスが王位を継いだため、エーペイロス人の一部を率いて北方へ移住し、その地ケストリネーの名祖となった。
解説
概要
ケストリーノス(Κεστρῖνος / Kestrinos)は、トロイアの予言者ヘレノスとアンドロマケーの子である。エーペイロス北部の一地方ケストリネーの名祖とされる。伝えるのはほぼパウサニアース(1.11.1〜2)だけである。
神話・物語
トロイアが落ちると、アンドロマケーはネオプトレモスの戦利品としてギリシアへ連れて行かれ、捕虜の身でモロッソス、ピエロス、ペルガモスの三人の子を産んだ。ヘレノスもまたネオプトレモスに従ってエーペイロスに渡っていた。
ネオプトレモスがデルポイで殺されたのち、アンドロマケーはヘレノスの妻となり、ケストリーノスが生まれた。ヘレノスは死に臨んで、王国をネオプトレモスの子モロッソスに譲った。王位を得られなかったケストリーノスは、従う者を連れてテュアミス川の北へ移り、その地を治めた。この土地はのちに彼の名にちなんでケストリネーと呼ばれたという。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
父はヘレノス、母はアンドロマケー。異父兄にモロッソス、ピエロス、ペルガモスがいる。モロッソスはモロッソイ人の名祖で、その王家からはアレクサンドロス大王の母オリュンピアスが出た。ペルガモスは小アジアのペルガモンの名祖とされる。
文化的足跡
トロイアの王族の血筋がエーペイロスの諸地方の由来に組み込まれたことを示す、地名の起源譚の一つである。ウェルギリウス『アエネーイス』第3巻では、アイネイアースがエーペイロスのブートロートンでヘレノスとアンドロマケーの営む小さなトロイアを訪ねる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。