ケフィル・ドゥール
ケフィル・ドゥール · ケフィル・ドゥヴル · Ceffyl Dŵr
ウェールズの水の馬で、山あいの淵や滝、川や海辺に住む。旅人を背に乗せて遠くへ運び、あるいは空へ駆け上がって霧に消え、乗り手を落として死なせる。北ウェールズでは悪意ある存在、南ウェールズでは旅人を助けることもある馬として語られた。
解説
概要
ケフィル・ドゥール(ケフィル・ドゥヴルとも)は、ウェールズの伝承に語られる水の馬である。スコットランドのケルピーに相当するものと考えられることが最も多いが、アイルランドのプーカ、アイルランドとスコットランドのイッシュカ、マン島のグラシュティンとも比べられる。ケルト神話のうち、ウェールズの民間伝承に属する。
伝承
ケフィル・ドゥールは主に山あいの淵や滝に住むが、川や海辺にも現れる。馬の姿をとる霊で、多くは灰色か黒で白いたてがみを持ち、光を放ったり翼を持ったりすることもある。うかつな旅人を誘って背に乗せ、たちまち遠くまで運ぶか、空へ駆け上がって大気や霧のなかに消え、乗り手を落として死なせるという。捕らえて働かせることもできるが、やがて必ず逃げ出し、捕らえた者を死へ引きずっていく。
その性格は土地によって異なる。北ウェールズでは燃えるような目を持つ悪意ある存在とされ、南ウェールズでは、悪くても旅人を困らせる程度で、よければ疲れた旅人を大いに助ける、しばしば光を放つ馬として語られた。ブレコンに近いホンズイ川の水の馬は、疲れた男を遠くトウィ川のほとりまで運び、三日後に泥水や茨のなかを引きずって連れ戻したという。
土地によっては、山羊に姿を変えて人に突進したり、クルーイドの谷では蛙に変わって人の背に跳び乗り、首を絞めたりしたとも伝えられる。海辺では、まだらの灰色か砂色の馬で、蹄が逆向きについていることで見分けられ、嵐が近づくと現れたという。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
ケルピー、プーカ、イッシュカ、グラシュティンとともに、水の馬の系列をなす。
なおケルトの伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。