プーカ
プーカ · プウカ · パック
アイルランドの変身する妖精。燃える目の黒馬の姿で夜に現れ、人を背に乗せて荒々しく駆ける。サウィン以後の畑の残り物は「プーカの分」とされ人が採ってはならない。シェイクスピアのパックと同系。
解説
概要
プーカ(アイルランド語で霊・幽霊。複数形プーカイ)、プーカ、プウカ、プーカー、パックとも呼ばれる存在は、ケルト、イングランド、チャンネル諸島の民間伝承の生き物である。
幸運と不運の双方をもたらす者と考えられ、農村と海の共同体を助けることも妨げることもできた。プーカイは暗い毛皮あるいは白い毛皮を持ちうる。馬、山羊、猫、犬、兎の姿をとる変身者であるとされた。動物の耳や尾のような動物の特徴を含む人間の姿をとることもある。
伝承
黒馬。 最もよく知られる姿は、燃える目を持つ黒い馬である。夜に現れ、人を背に乗せて荒々しく駆け、恐ろしい目に遭わせてから降ろす。ただし殺すことはない。
収穫。 サウィン(11月1日)以後に畑に残った作物は「プーカの分」(プーカ・シャン)とされ、人が採ってはならない。プーカが唾を吐きかけて食べられなくするからである。収穫の期限を定める習俗が、この存在に結びついている。
予言。 プーカは人語を話し、助言や予言を与えることがある。11月1日にはおとなしくなり、問いに答えるという。
名
アイルランド語のプーカは英語起源で、その語源は中英語のパックである。ケルトとゲルマンの諸文化に類例がある——ウェールズのプーカ、コーンウォールのバッカ、アイスランドのプーキ、古ノルド語のプーキ。
シェイクスピア『夏の夜の夢』のパックは、この系列の妖精である。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ワート・サイクス『ブリティッシュ・ゴブリン』(1880年)のプウカの図である。
善悪いずれにも働きうるという両義性が、この存在を規定する。害をなすが殺さず、助けるが気まぐれである。農村の生活に近い妖精の典型である。
関わる伝承
パック、バッカと同系。レプラホーン、バンシーと並ぶアイルランドの妖精。
文化的足跡
映画『ハーヴェイ』(1950年)の見えない巨大な兎はプーカとされ、英語圏でこの語を広めた。アイルランドでは今日も「プーカの分」の習俗が語られる。