カテキル
カテキル · アポ・カテキル · カトゥキリャ
ペルー北部の雷の神で、殺されて埋められた母の墓から双子の一方として生まれ、雷で母の仇を討って母を蘇らせた。雷は投石器で石を投げる音とされる。その神託所はアタワルパが不利な答えを得て破壊し、2008年の発掘で痕跡が確認された。
解説
概要
カテキル(アポ・カテキルとも)は、インカ帝国が興る以前から、ペルー北部の高地で祀られてきた雷の神である。殺された母の墓から双子の一方として生まれ、母を蘇らせ、母を殺した者たちを雷で滅ぼしたと語られる。ワマチュコにあったその神託所は、アンデス北部で最も重んじられたものの一つであったが、インカの内戦のさなかにアタワルパによって壊されたと伝えられ、その跡は考古学の発掘でも確かめられている。
なお本サイトの分類では、インカ/アンデスの体系に含めて扱う。
墓から生まれた双子
カテキルの母カウティグアンは、グアチェミネスと呼ばれる者たちに殺され、埋められた。その墓から、カテキルと兄弟のピゲラオの双子が生まれた。ピゲラオについては、弱く生まれてまもなく死んだとする話と、兄弟を助けてグアチェミネスを討ったとする話がある。カテキルは母の墓を掘り起こして母を蘇らせ、母を殺した者たちを雷で滅ぼした。そして大地を掘って、そこから新しい人々を生み出したという。
雷と投石器
雷の音は、カテキルが投石器(ワラカ)で石を投げる音とされた。雷が落ちた場所の石は、この神のものとされて尊ばれた。アンデスでは、双子の誕生が雷と結びつけられ、双子を産んだ母は、雷に打たれた者と同じように扱われ、特別な儀礼を必要とした。
壊された神託所
ワマチュコにあったカテキルの神託所は、アンデス北部で最も重要なものの一つであった。インカはこの地方の神を排除せず、その神託を尊重した。ところがインカの内戦のさなか、アタワルパは、この神託から自分に不利な答えを受けたために神像を壊し、神官を殺したと伝えられる。望まない答えを与えた神に、王が報復したのである。ワマチュコの発掘では神殿の遺構と破壊の跡が見つかっており、スペイン側の記録が考古学によって裏づけられた例とされる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
双子の一方であり、インカの雷の神イリャパと雷の領分を分け合う。
文化的足跡
ワマチュコの発掘は、アンデスの考古学の重要な成果とされている。
なおアンデスの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。