カー・イボルメイト
カー・イボルメイト · カー · Cáer Ibormeith
オェングスの夢に一年以上現れ、手を伸ばすと消えた娘。一年おきのサウィンに人と白鳥の姿を行き来した。オェングスは白鳥の姿の彼女を見分け、自らも白鳥に変じて二羽で飛び去り、その歌は聞く者を三日三晩眠らせた。
解説
概要
カー・イボルメイトは、アイルランド神話で、オェングスの夢に現れた娘である。コナハトのシード・ウアヴィンの王エサル・アンヴアルの娘とされる。一年おきのサウィンに人の姿と白鳥の姿を行き来して暮らしていた。ケルト神話の体系に含めて扱う。
神話・物語
一年以上にわたって、オェングスの夢に娘が現れ、寝台のそばに立った。しかし手を伸ばすと、娘は消えてしまった。
娘は、サウィンの日没から一日だけ人の姿になり、そのあとは白鳥に戻って一年を過ごし、次のサウィンにまた人の姿になるのだった。オェングスは夢の娘を探して竜の口の湖へ行き、二人ずつ鎖でつながれた百五十人の娘のなかに、カー・イボルメイトを見つけた。白鳥の姿の彼女を見分けられれば妻にできると告げられたオェングスは、正しく見分け、自らも白鳥に姿を変えて、二羽で飛び去った。二人はボイン川のほとり、スレーンに近いオェングスの住まいブルーイ・ナ・ボーニャへ向かった。飛びながら二人が歌った美しい調べは、アイルランドじゅうの聞く者を三日三晩眠らせたという。
別の版では、カーはほかの百四十九羽の白鳥とつながれているのではなく、ひとりで百三十本の鎖をかけられていたとされる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
エサル・アンヴアルの娘で、トゥアハ・デ・ダナーンのオェングスの妻となった。ディアルミドの養母にもなったとされる。
文化的足跡
この物語は、W・B・イェイツが詩「さまようオェングスの歌」を書くきっかけとなった。
なおケルトの伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。