テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
アラン・ゴア
PLATE — ALAN GUA
MONGOLIAN · モンゴル・シベリアの神話
ALAN GUA

アラン・ゴア

アラン・ゴア · アルン・グア · Alan Gua

アラン・ゴアと子らを描いた写本挿画 PUBLIC DOMAIN

『モンゴル秘史』の半ば神話的な女性で、チンギス・ハンの氏族ボルジギンの祖。夫の死後に天幕の煙出しから差す黄金の光によって三人の子を得たと語り、その血統を天と直結させた。五本の矢の教訓でも知られる。

01

解説

概要

アラン・ゴアは、13世紀に成立したモンゴル最古の歴史書『モンゴル秘史』に登場する女性で、チンギス・ハンの祖先にあたる。夫の死後、天幕の煙出しから差し込む光によって三人の子を身ごもったと語り、その末の子がチンギス・ハンを出したボルジギン氏の祖となった。五人の息子に一本ずつなら折れる矢も五本束ねれば折れないと示して団結を説いた、「束ねた矢」の教えでも知られる。名の「ゴア」はモンゴル語で「美しい」を意味する。

なお本サイトの分類では、モンゴル・シベリアの体系に含めて扱う。

光から生まれた子

『モンゴル秘史』によれば、アラン・ゴアは夫ドブン・メルゲンの死後に三人の子を産んだ。夫とのあいだに生まれていた二人の息子は、父のいない弟たちの出自を疑った。アラン・ゴアは、夜ごと天幕の煙出しから黄金色の光が差し込んで自分の腹を撫で、その光は犬か狼のように這い出して日と月の光とともに去っていった、と語った。三人の子は、この光から生まれたというのである。その末の子ボドンチャルから、チンギス・ハンの氏族ボルジギン氏が出た。

束ねた矢

同じ場面で、アラン・ゴアは五人の息子を集め、矢を一本ずつ渡して折らせた。矢はたやすく折れた。次に五本の矢を束ねて渡すと、誰も折ることができなかった。アラン・ゴアは、一人ひとりでいれば折られてしまうが、束になれば折れないと教えた。束ねた矢の教えは、イソップ寓話や、日本の毛利元就の「三本の矢」など、各地に伝わっている。モンゴルへ伝わったものか、それぞれ独立に生まれたものかは定まっていない。

天とつながる血統

光によって生まれたとすることで、チンギス・ハンの血統は、天と直接つながることになる。モンゴルの支配者が「永遠なる天の力によって」治めるという主張の、系譜の上での裏づけとなったのである(テングリの項を参照)。光や風によって身ごもるという話は、各地の始祖の伝承に見られる。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、アラン・ゴアと子どもたちを描いた写本の挿絵である。

関わる伝承

ボルジギン氏の祖であり、『モンゴル秘史』の主要な人物である。

文化的足跡

『モンゴル秘史』は、13世紀に成立したモンゴル語で最も古い文献である。

なおモンゴル・シベリアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。

02

領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

コリラルタイ・メルゲン
『モンゴル秘史』§8(コリ・トゥマトの長)
バルグジン・ゴア
『モンゴル秘史』§8–9(バルグダイ・メルゲンの娘)
ALAN GUA
アラン・ゴア
モンゴル・シベリアの神話
ドブン・メルゲン
『モンゴル秘史』
◆
コリラルタイ・メルゲン
『モンゴル秘史』§8(コリ・トゥマトの長)
◆
バルグジン・ゴア
『モンゴル秘史』§8–9(バルグダイ・メルゲンの娘)
★
ALAN GUA
アラン・ゴア
モンゴル・シベリアの神話
◆
ドブン・メルゲン
『モンゴル秘史』
収載データなし
フル系図ページを開く →
04

資料

Wikidata
Q2504245 — 骨格データの出典