アバシ
アバシ · アバッシ · アワシ
ナイジェリアのエフィク・イビビオ・アナン人の至高神。最初の男女に耕作と生殖を禁じて地上へ降ろし、鐘を鳴らして天で食べさせたが、女が畑を作り子が生まれたため、妻アタイに命じて人に死をもたらした。
解説
概要
アバシ(アバシ、アワシとしても知られる)は、ナイジェリアのエフィク、イビビオ、アナン人の至高の創造神である。
エフィクとアナンの伝統におけるアバシの描写は、イビビオ神話の影響を受けている。二つの集団はもとイビビオの一部であり、のちにナイジェリア南東部の異なる地域へ移住して独自の社会を形成したためである。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
神話
アバシは妻アタイとともに天に住んでいた。
アバシは人を創ったが、地上に住まわせることをためらった。人が増え、耕作を覚え、自分を忘れることを恐れたためである。
二つの禁。 アタイの説得により、アバシは最初の男女を地上へ降ろした。ただし二つの禁を課した。
一つは、耕作をしてはならないこと。もう一つは、子を産んではならないこと。
食事のときは鐘を鳴らして呼ぶから、天へ来て食べよと命じた。
破られる禁。 はじめ二人は従ったが、女が畑を作り、収穫を得た。夫にも与え、二人は天へ行かなくなった。やがて子が生まれた。
怒ったアバシは、アタイに命じて人に死をもたらさせた。まず最初の二人が死に、次いでその子らのあいだに争いが起こった。
労働と死
耕作を覚えることが、死の原因になるという構成である。
神のもとで食を得ていた人が、自ら食を作るようになったとき、神から離れ、死ぬようになる。
ディンカのンヒアリクの綱、アカンのニャメの杵——いずれも農作業が神との断絶を招く。西アフリカに広く分布する型である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
エフィク・イビビオの「エクペ」(豹の秘密結社)が、社会の統制を担った。その儀礼はアバシの体系に属する。
関わる神格・伝承
妻はアタイ。エクペと結びつく。
大西洋奴隷貿易により、エフィクの人々はカリブ海へ渡り、キューバのアバクア結社の起源となった。
文化的足跡
キューバのアバクアは、アフリカ起源の秘密結社として今日も存続しており、そのニャニゴの儀礼と衣装で知られる。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。