山そのもの、あるいは山に宿る力を神聖なものとみなす信仰。日本では、山を神の宿る場(神奈備)とみて麓に里宮を、山上に山宮を設ける形が各地にみられ、山を仰ぐ位置に社が構えられた。里の暮らしと結びついた観念として、山の神が春に里へ降りて田の神となり、秋に収穫を終えて山へ帰るという去来の伝承が広く語られる。狩猟の民にとって山の神は獲物を授ける主であり、鉱山や林業の現場でも山の神が祀られた。中世以降は仏教と結んで修験道が形成され、山に籠って験力を得る行が体系化される。一つの「山の神」があるのではなく、農・狩・鉱・行という異なる生業がそれぞれの山の神を持ち、それらが同じ名のもとに重なってきたと見るのが実際に近い。
GLOSSARIUM · MOUNTAIN WORSHIP