サリマノク
サリマノク · パパノク · Sarimanok
ミンダナオのイスラーム教徒マラナオ人の伝説の鳥で、名は「さまざまな色の鳥」を意味する。極彩色の翼と尾羽を持ち、嘴に魚をくわえる姿で幸運と繁栄を象徴する。崇拝の対象ではなく装飾の意匠として作り続けられた。
解説
概要
サリマノクは、東南アジアのフィリピン南部ミンダナオ島のイスラーム教徒、マラナオの人々に伝わる伝説の鳥である。色とりどりの翼と尾羽を持ち、嘴に魚をくわえた姿で表され、幸運と繁栄のしるしとされる。生き物の像を作ることを避けるイスラームの社会で、崇拝の対象としてではなく装飾の意匠として作り続けられ、今日ではフィリピン全体の文化の象徴にもなっている。
信仰
名は「さまざまな」を意味する「サリ」と、「鳥」を意味する「マノク」から成る。サリマノクは色とりどりの翼と尾羽を持ち、嘴に魚をくわえた姿で表されることが多い。幸運と繁栄のしるしとされる。
マラナオの人々は、ミンダナオ島のラナオ湖のまわりに住むイスラーム教徒の民族で、名は「湖の民」を意味する。ある伝承では、サリマノクは天から来た鳥で、スルタンの娘を連れ去ったという。サリマノクは、マラナオの王家(ダトゥ)のしるしとして用いられた。
イスラームは、生き物の像を作ることを避ける。それでもサリマノクは、崇拝の対象としてではなく、マラナオの伝統的な曲線の文様オキルで彩られた装飾の意匠として作り続けられた。
今日、サリマノクはマラナオの人々を越えて、フィリピン全体の文化の象徴として用いられている。ミンダナオのイスラーム教徒の文化を代表するものでもある。
図像と象徴
翼と尾羽を大きく広げ、嘴に魚をくわえて立つ姿で、全体がオキルの渦巻く曲線で飾られる。主画像は、ミンダナオのバンサモロのイスラーム美術の作例である。
系譜と関係
マラナオの伝承に属し、叙事詩ダランゲンの世界に連なる。
文化的足跡
マラナオの工芸の職人たちは、今日もサリマノクの木彫りや真鍮の工芸品を作り続けている。
なお東南アジアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。