オポチトリ
オポチトリ · アミミトル · Opochtli
漁と狩りのアステカの神で、名は「左」「左利き」を意味する。網・銛・罠・櫂・投槍器を人に与えたとされ、イルカに乗る姿で描かれる。雨の神トラロックの代理の一柱。湖上の都市テノチティトランの生業を支えた。
解説
概要
オポチトリは、アステカの万神殿の神の一柱であった。漁と狩りの神とみなされ、しばしばイルカに乗る姿で描かれ、また雨の神トラロックの代理の一柱でもあった。
ナワトル語で、その名は「左」あるいは「左利き」を意味する。左手で槍を投げる神であった。
アステカは西を主要な方位とみなしたため、この方位に従えば南が左になる。
職能
漁と水鳥の狩りを司る。テノチティトランは湖上の都市であり、漁と水鳥の捕獲は日常の食を支えていた。
オポチトリは、漁の道具の発明者とされた。網、銛、鳥を捕らえる罠、そして舟を漕ぐ櫂を人に与えたという。
アトラトル。 投槍器(アトラトル)を発明したのもこの神とされる。左手で投げるという記述は、この道具の使い方に関わるとみられる。
トラロックとの関係
トラロック——雨の神——の代理(トラロケ)の一柱である。トラロケは雨と水を司る複数の神格であり、山の頂に住むとされた。
水に関わるすべての職能が、トラロックの体系に組み込まれている。
図像
緑の身色で、羽根の冠を戴き、蓮の葉あるいは葦の意匠をつけた姿で描かれる。手に投槍器を持つ。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、オポチトリの図である。
左利きであることが名になっている点が、この神を規定する。左は多くの文化で不吉とされるが、アステカにおいては方位(南)と結びつく。
なお、ウィツィロポチトリの名も「オポチトリ」を含み、「南の(左の)ハチドリ」を意味する。左と南の結びつきが、複数の神名に現れる。
関わる神格・伝承
トラロケの一。ウィツィロポチトリと名の要素を共有する。
アミミトルという神と同一視されることがある。こちらも漁の神である。
文化的足跡
テノチティトランの湖の漁は、スペイン征服後に湖が干拓されて失われた。オポチトリの信仰も、その生業とともに消えた。