テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
PLATE — ᓇᓄᖅ
SEPTENTRIO · 北米先住民の神話
ᓇᓄᖅ

ナヌーク

ナヌーク · ナヌク · Nanook

イヌイトの熊の主で、狩人が熊を得るに値するかを決め禁忌の違反を罰する。熊の魂は数日皮に留まるとされ、雄には狩りの道具、雌には裁縫の道具を供えた。映画『極北のナヌーク』でその名が広まったが、同作は多くの場面が演出であった。

01

解説

概要

イヌイトの宗教において、ナヌーク(イヌクティトゥット語で「白熊」)は熊の主であった。狩人が熊を見つけ狩ることに成功するに値するかを決め、禁忌の違反を罰した。

この語は、映画『極北のナヌーク』——最初の長編記録映画——によって広く知られるようになった。

なお本サイトの分類では、北米先住民の体系に含めて扱う。

熊の主

イヌイトの人々は、ナヌークを強大で、「ほとんど人である」存在と考えた。ある種の動物を束ねる霊が、その動物を人に与えるかどうかを決めるという考えは、狩りを営む人々の宗教に広く見られる。海の獣をセドナが司るように、熊を司るのがナヌークである。

熊を仕留めた狩人は、決められた作法を守らなければならなかった。熊の魂は、雄なら三日、雌なら四日のあいだ皮のなかに留まるとされ、そのあいだ皮を家の高いところに吊るして、供物を捧げた。雄の熊には狩りの道具を、雌の熊には針や皮なめしの道具を供えた。熊にも、その性に応じた贈り物をしたのである。この作法を怠れば、熊の霊がほかの熊に告げ、以後熊は獲れなくなるとされた。

白熊と人

白熊は、イヌイトの人々にとって最も危険な獲物であり、同時に最も敬われる動物である。二本の足で立ち、器用に前足を使い、雪の穴を作る白熊は、人に似ており、人の姿にもなりうると考えられた。シャーマン(アンガコック)を助ける霊として、白熊はしばしば現れる。

図像と象徴

固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ロバート・フラハティの1922年の映画『極北のナヌーク』は、記録映画の始まりとされる作品である。ただしこの映画には演出された場面が多く、当時すでに使われていた銃を隠して、銛による狩りを撮影するなど、事実と異なる描き方を含んでいる。「記録」が作り上げられたものであるという問題の、古典的な例とされる。主演した人物の名はアラカリアラクといい、「ナヌーク」は映画のための名であった。

関わる伝承

熊の主。セドナと動物の主の観念を共有する。

文化的足跡

「ナヌーク」の名は、映画を通じて世界に広まった。カナダの地名、商品名にも用いられている。

なお北米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。物語のうちには氏族や個人の所有物として扱われるものがあり、公開の場で語ることが適切でない場合がある。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q982847 — 骨格データの出典