ジュワーラー・ジー
ジュワーラー・ジー · ジュワーラームキー · Jwala
ヒマーチャル・プラデーシュのジュワーラームキーに祀られる女神で、本尊は岩の割れ目から燃え続ける九つの青い炎である。科学的には地下の天然ガスが燃えており、自然現象そのものが女神として祀られる。サティーの舌が落ちた地とされ、ムガル皇帝アクバルが消そうとしても消えなかったと伝えられる。
解説
概要
ジュワーラー・ジーは、北インドのヒマーチャル・プラデーシュ州ジュワーラームキーに祀られる女神である。本尊は人の姿の像ではなく、岩の割れ目から燃え続ける九つの青い炎である。科学的には地下の天然ガスが燃えているものであり、燃え続ける火という自然の現象そのものが女神として祀られている。女神サティーの舌が落ちた地とされる。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。
燃え続ける炎
ジュワーラームキー(「炎の顔の女神」)の寺院には、神像が置かれていない。かわりに、岩の割れ目から青い炎が燃え続けており、その九つの炎が女神の九つの姿とされる。この炎は何世紀にもわたって消えずに燃え続けてきたと伝えられる。地下にたまった天然ガスが漏れ出して燃えているのである。聖地の名は、叙事詩『マハーバーラタ』にも言及がある。
サティーの舌
女神サティーの亡骸がシヴァに担がれて各地をめぐったとき、その身体の各部が落ちた場所が聖地(シャクティ・ピータ)になったと伝えられる。ジュワーラー・ジーは、サティーの舌が落ちた地とされ、燃え上がる炎が女神の舌に重ねられている。
消えなかった炎
16世紀、ムガル帝国の皇帝アクバルがこの炎の話を聞き、水路を引いて消そうとしたが、炎は消えなかったという伝承がある。驚いたアクバルは金の傘を奉納したが、女神はそれを受け取らず、金は別の金属に変わってしまったとも言われる。この話は、帝国の権力と土地の信仰との関係を語る物語として伝えられてきたもので、史実であることの確かな裏づけはない。
燃える大地の聖地
地下のガスが燃え続ける土地は、ほかにもある。アゼルバイジャンのアテシュガーには、インドの商人たちが建てた火の寺院が残る。燃え続ける大地が聖地とされることは、ユーラシアの各地に見られる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、アテシュガー(アゼルバイジャン)の火の寺院の碑文(1911年撮影)である。同じく天然ガスの炎の聖地であり、インドの商人たちが建てたものである。
関わる伝承
サティーの舌が落ちた地であり、女神の九つの姿を表す。
文化的足跡
ジュワーラームキー寺院は、北インドの主要な巡礼地の一つである。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。