ウィシュトシワトル
ウィシュトシワトル · ウイシュトチワトル · Huixtocihuatl
塩と塩水を司るアステカの豊穣の女神で、雨の神々の姉とされる。弟たちを怒らせて塩水のなかへ追放され、そこで塩を作ることを覚えて人に伝えた。テクイルウィトントリの祭で塩を作る女たちが十日間踊った。
解説
概要
ウィシュトシワトル(Huīxtōcihuātl、ウイシュトシウアトルとも)は、アステカで塩と塩水をつかさどる女神である。多くの資料で、トラロックら雨の神々の姉とされる。この女神について知られることの多くは、サアグンの記録による。
神話・物語
塩は、メソアメリカにおいて重要な交易品であった。テスココ湖の塩水から採られ、あるいは沿岸で作られた。
塩を作る者たちが、この女神を祀った。伝承によれば、ウィシュトシワトルは弟である雨の神々を怒らせ、塩水のなかへ追放された。
そこで塩を作ることを覚え、人に伝えたという。
太陽暦の第7月テクイルウィトントリには、この女神の祭が営まれた。
塩を作る女たちが十日間踊り続けた。花の綱を持ち、老女から少女まで列をなして踊った。
最後の夜、女神に扮した女が徹夜で踊り、翌朝に犠牲として捧げられた。
『フィレンツェ絵文書』は、この祭を詳しく記す。犠牲に先立ち、他の犠牲者たちが先に捧げられ、女神役はその最後であった。
図像と象徴
黄色い身色で、波の意匠をつけた衣をまとい、葦の杖と盾を持つ姿で描かれる。頭には紙の冠と羽根をつける。本サイトの主画像は、サアグンの『プリメロス・メモリアレス』に描かれたウィシュトシワトルを、アップロード者が描き起こしたものである。
系譜と関係
トラロックらの姉。塩を作る者の守護神。
文化的足跡
テスココ湖の塩の生産は、スペイン征服後の湖の干拓とともに衰えた。
なおメソアメリカの先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。