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デウィ・ダヌ
PLATE — DEWI DANU
SOUTHEAST_ASIAN · 東南アジアの神話
DEWI DANU

デウィ・ダヌ

デウィ・ダヌ · Dewi Danu

CEphoto, Uwe Aranas CC BY-SA 3.0

バリのヒンドゥー教における水の女神で、二柱の至高の神格の一柱。火山の火口湖に祀られ、湖から流れ出る水を寺院の祭司が上流から下流へ分配する水利共同体スバックの中心にある。1970年代の緑の革命で祭祀の暦を無視したところ害虫が大発生し、女神の暦が生態系を守っていたことが示された。

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解説

概要

デウィ・ダヌは、インドネシアのバリ島で信仰される水の女神で、バリの伝統における二柱の至高神の一柱である。火山の火口湖に祀られ、湖から流れ出る水は、寺院を中心とした水利の共同体スバックによって田へと分けられてきた。女神の祭祀の暦が、結果として田の生態系を守っていたことが、20世紀後半に明らかにされている。

なお本サイトの分類では、東南アジアの神話を主たる体系とし、ヒンドゥーを併記する。バリのヒンドゥー教徒は、自らの信仰を「水の宗教」(アガマ・ティルタ)とも呼ぶ。

湖の女神

バリ島中部には火山があり、その火口に湖がある。バトゥール湖のほとりにはウルン・ダヌ・バトゥール寺院が、ブラタン湖には湖に浮かぶように建つウルン・ダヌ・ブラタン寺院がある。「ダヌ」は湖を意味する。バトゥール山の男神と、湖の女神とが対をなすとされる。

水を分ける寺院

バリの水田は、スバックと呼ばれる水利の共同体によって管理されてきた。9世紀の碑文にすでに記録があり、千年以上続く制度である。火口湖から流れ出た水は、寺院の祭司の差配のもと、上流から下流へと順に分けられる。水の分配を決めるのは寺院の祭祀であり、田に引く水は女神から授かるものとされた。宗教の営みが、そのまま灌漑の制度として働いてきたのである。

緑の革命と害虫

1970年代、インドネシア政府は「緑の革命」を掲げて新しい品種と化学肥料を導入した。寺院が定めてきた作付けの時期は顧みられず、年に何度も稲を作ることが奨励された。すると、田をいっせいに休ませる期間がなくなったため、害虫が大発生した。アメリカの人類学者スティーヴン・ランシングは、寺院の暦が害虫を抑える役割を果たしていたことを、コンピュータによる模擬計算で示した。1980年代以降、スバックの仕組みは改めて尊重されるようになる。女神の暦が、田の生態系を守っていたのである。

2012年、スバックの仕組みと景観は、「トリ・ヒタ・カラナの哲学に基づくスバック・システム」としてユネスコの世界遺産に登録された。トリ・ヒタ・カラナは、神と人、人と人、人と自然の三つの調和を意味する。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、ブラタン湖の寺院で祈りを終えたバリの家族である。

関わる神格・伝承

稲の女神デウィ・スリとともに、稲作の祭祀をなす。

文化的足跡

ウルン・ダヌ・ブラタン寺院は、インドネシアの五万ルピア紙幣の図柄に用いられている。

なお東南アジアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q5268237 — 骨格データの出典