クロアーキーナ
クロアキナ · ウェヌス・クロアーキーナ · Cloacina
ローマの大下水道クロアーカ・マクシマを司る女神。名は「浄める」と同じ語根で、ウェヌスの浄化の相ウェヌス・クロアーキーナとして祠がフォルムにあった。都市の基盤設備にも神を置いたローマ宗教の例。
解説
概要
ローマの神話と文化において、クロアーキーナ(Cloacina、クルアーキーナとも)は、古代のクロアーカ・マクシマ——ローマの主要な下水道と排水路——を司る女神であった。
クロアーキーナは愛と性の女神ウェヌスと結びつけられた。ウェヌスにはウェヌス・クロアーキーナ(「浄めるウェヌス」)の添え名が与えられ、その機能の浄化の相を体現した。ウェヌス・クロアーキーナの祠がフォルム・ローマーヌムのウィア・サクラ沿いにあった。
名
神名クロアーキーナは名詞クロアーカ(「下水、地下の排水路」。動詞クルエレ「浄める」と比較)の派生語で、イタリック祖語 *klowā-、究極的には印欧祖語 *ḱleuH-o-(「清い」)に由来する。
下水道と浄化が同じ語根であるという事実が、この女神の性格を示している。汚れを流し去ることが浄めることであり、下水道の女神は浄化の女神である。
祭祀
伝えによれば、サビニの王ティトゥス・タティウスがこの女神の祠を建てた。サビニ戦争の和解の際、ローマ人とサビニ人が武器を捨てて浄めの儀礼を行った場所が、のちにクロアーカ・マクシマの上にあたることから、この女神が両民族の和解と結びつけられたともいう。
前42年のルキウス・ムッシディウス・ロングスの貨幣に、ウェヌス・クロアーキーナの祠が描かれている。円形の基壇の上に二体の女神像が立つ小さな祠である。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、前42年のルキウス・ムッシディウス・ロングスのデナリウス銀貨である。ウェヌス・クロアーキーナの祠を描く。
下水道に女神がいるという事実が、この神格を規定する。ローマ人は都市の基盤設備にも神を置いた。クロアーカ・マクシマは前6世紀にエトルリアの王タルクィニウスが築いたとされ、今日も一部が機能している。
関わる神格・伝承
ウェヌスの一相。ティトゥス・タティウスが祠を建てた。
文化的足跡
クロアーキーナは、近代の衛生工学の文脈でしばしば引かれる。下水道の守護女神という観念が、公衆衛生の象徴として用いられた。