チュルパ
チュルパ · Chullpa
アルティプラーノに残る古代アイマラの葬送の塔で、東向きの小さな入口を持ち屈葬の遺体を納める。アンデスでは祖先の遺体が土地の権利を保証したため、スペインによる破壊は土地の収奪と結びついた。太陽以前に生きて焼け死んだ人々の遺構とも語られる。
解説
概要
チュルパは、南米のアンデス高原で、貴人やその一族を葬るために建てられた石造りの塔である。ペルーとボリビアの高原(アルティプラーノ)の各地に見られ、高いものは12メートルほどになる。ペルーのシユスタニのものが最もよく知られている。アンデスでは祖先は生きている者とともにあり、墓に納められた祖先の遺体は、祭のたびに外へ出されて供物を捧げられた。現代のアイマラの人々の伝承では、チュルパは太陽が現れる前の時代に生きていた人々のことも指す。
なお本サイトの分類では、インカ/アンデスの体系に含めて扱う。建築であると同時に、これに結びつく人々の観念を扱う。
石の塔
チュルパは、石を精密に組み上げて造った、円筒形や四角形の塔である。東に向いた小さな入口が一つだけあり、それは太陽の昇る方角である。内部には、膝を折り曲げた姿の遺体がいくつも納められており、一族の墓であったとみられる。上へ行くほど太くなる塔もあり、技術的に難しい造りである。
生者とともにある祖先
アンデスでは、祖先は生きている者とともにあると考えられた。ミイラとなった祖先の遺体はマルキと呼ばれ、祭のときには墓から出されて供物を捧げられ、行列に連れ出された。祖先は、一族の土地の権利を保証する存在でもあった。祖先の遺体がそこにあることが、その土地を持つことの根拠だったのである。
スペインの支配のもとで偶像を根絶しようとする運動が進められると、マルキは焼かれ、チュルパは壊された。祖先を失うことは、そのまま土地の権利を失うことにつながった。宗教の弾圧が、土地を奪うことと結びついていたのである。
チュルパの人々
現代のアイマラの人々の伝承では、「チュルパ」は塔を建てた古い人々のことも指す。太陽が現れる前、月の光だけが照らす時代に生きていた人々で、太陽が昇ったときに焼け死んだという。廃墟となった塔と、そこに残る遺骨とが、この物語によって説明されている。自分たちの祖先とは別の「前の人々」がいたとする考えは、アンデスに広く見られる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、シユスタニのチュルパである。
関わる伝承
祖先の遺体マルキへの信仰と結びつく。
文化的足跡
シユスタニは、今日のペルーの主要な観光地の一つである。
なおアンデスの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。