バフチャラー・マーター
バフチャラ · バフチャラージー · ベチャラージー
グジャラートで祀られる貞節と豊穣の女神。雄鶏を乗物とする。チャーラン出身とされ、トラーガーによる呪いの物語で知られる。ヒジュラー共同体の守護女神でもある。
解説
概要
バフチャラー・マーター(グジャラート語 બહુચર માતા)は、ヒンドゥー教の女神で、乙女の相における貞節と豊穣を司る。ヒングラージの化身とされる。
願いを叶え、とりわけ男児を授け、病を癒すという。グジャラートとラージャスターンの他の神格と同じく、チャーラン(吟遊詩人カースト)に出自を持つ。
ヒジュラー——インド亜大陸において男性でも女性でもない第三の性として社会的に認められてきた共同体——の守護女神としても知られる。主要な寺院はグジャラート州メヘサーナー県ベチャラージー町にある。
神話・物語
伝えによれば、バフチャラーは現在のジャイサルメール県ウジャラン村で、マール・チャーランのデータ氏族に生まれた。父はカローダーのバーパルダン・データ、母デーヴァルはウジャラン出身である。ガドヴィ・サマルトダン・マヒヤーによれば、1309年頃の人という。八人姉妹の一人で、バフチャラー、ブータ、バラーラ、ヴィール、ヒール、ラーメーシュヴァリー、ケートゥー、パートゥーと名を連ねる。母デーヴァル自身もサガト(神格化された女性)とされ、データ・チャーランとソーダー・ラージプートの守護女神として祀られる。
母の死後、父は召使いを遣わしてバフチャラーと二人の妹を呼び寄せようとした。その道中、チュンヴァール地方のシャンカルプルで、コーリの盗賊バーピヤーが隊商を襲う。襲撃に激怒したバフチャラーと姉妹たちは、トラーガー——儀礼的な自傷による自死というチャーランの慣行——を行い、バーピヤーが男性性を失うよう呪いをかけた。
バーピヤーは赦しを乞うたが、トラーガーによって発せられた呪いは取り消せない。彼は跪いて訴えた。「私の落ち度ではありません。私は略奪で生きてきましたが、バラモンとチャーランを狙ったことはありません。不運にも、それと知らずチャーランの車を狙ってしまったのです」
慈悲を示したバフチャラーは、その場に自分の祠を建てて祀るよう命じ、こう宣した——女の衣をまとった「生まれつき去勢された男」が自分を祀るならば、その者は祝福を得、死後は自分の住処に場所を得るであろう、と。バーピヤーはシャンカルプルのヴァラカダー樹の下に祠を建てた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、メーワール派の細密画(1820〜40年頃、紙にグワッシュ、13.1×10センチ)である。乗物である雄鶏に乗るバフチャラーを、ゴーラバイラヴァ(白きバイラヴァ)とカーラバイラヴァ(黒きバイラヴァ)が随侍する構図をとる。
乗物の雄鶏が、この女神を他の女神から分かつ標である。獅子や虎に乗る戦の女神たちのなかで、家禽を乗物とする例は少ない。
関わる神格・伝承
ヒングラージ——現在のパキスタン・バローチスターン州にある女神——の化身とされる。姉妹のブータ・バヴァーニー(アルネージ)、バラーラ・デーヴィー(バクルコー近く)も、それぞれの地で祀られている。
ベチャラージーの寺院では、儀礼の役割が三つの集団に分けられてきた。近隣のカルリー村のソーランキー・ラージプートの地主層、カマーリヤーと呼ばれるムスリムの集団、そしてヒジュラー(パヴィヤー)である。寺院の資金の一部が、この三種の伝統的な奉仕者に配分された。歴史的にはラージプートが儀礼を司っていたが、1859年にバローダのサヤージーラーオ・ガーイクワードが初めて南インドのバラモンを任命し、ラージプートの司祭を退けている。
文化的足跡
ヒジュラー共同体の守護女神という位置づけは、今日この女神が最も広く言及される文脈である。ベチャラージーの寺院は、共同体にとって重要な巡礼地であり続けている。
インドにおいて第三の性が制度上どう位置づけられてきたかは、法制史・社会史の主題であり、本サイトの範囲を超える。ここで確認できるのは、この女神をめぐる祭祀が、ラージプート、ムスリム、ヒジュラーという異なる集団の分担によって成り立ってきたという事実である。祭祀の場が、社会の境界を横断する組織として機能してきたことになる。