アイ・アタ
アイ・アタ · アイ・デデ · Ay Ata
チュルク神話とテングリ信仰の月の神で、名は「月の父」を意味する。太陽の女神キュン・アナと対をなして天の第六層に住み、彼女が暖かさを表すのに対して冷たさを表す。トルコでは子ども向けの話でも親しまれている。
解説
概要
アイ・アタ(アイ・デデとも)は、チュルク系の諸民族の神話とテングリ信仰における月の神で、名は「月の父」を意味する。太陽の女神キュン・アナ(「太陽の母」)とともに天の第六層に住み、彼女と対をなす。キュン・アナが暖かさと熱を表すのに対し、アイ・アタは冷たさを表す。
神話・物語
この神話は、アルタイ人やヤクート人などシベリアのチュルク系の人々のあいだでより広く伝わる。トルコでも今日よく知られ、子ども向けの話によって親しまれている。『オグズ・カガン説話』には、月の神がオグズ・カガンの父として現れる箇所があるが、その意味ははっきりしない。オグズ・カガンの次男はアイ・カン(「月の汗」)と名づけられている。
月の力と満ち欠け
チュルクの人々は、人には月の秘められた力(アイサル)が宿ると考えてきた。月の三つの相も象徴的に捉えられ、新月は清らかで慎み深い子ども、満月は円熟した善良な父母、欠けていく月は賢いが争いを好み意地の悪い老人を表すとされた。古い月が死ぬと新しい月が生まれ、これが果てしなく繰り返される。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
キュン・アナと対をなし、テングリを頂点とする体系に属する。
文化的足跡
満月の夜に生まれた子には、月の神を喜ばせるため、アイスル、アイヌル、アイナズのように「アイ」(月)を含む名が与えられた。
なおモンゴル・シベリアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。