テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
アンチャンチュ
PLATE — ANCHANCHU
INCA · インカ神話
ANCHANCHU

アンチャンチュ

アンチャンチュ · アブチャンチュ · アンチャンチョ

アンチャンチュを表す図/CC BY-SA 4.0 CC BY-SA 4.0

ボリビアのアイマラ地域に発するアンデスの吸血鬼。無力な老人や裕福な女に変じ、助けようとした者の血を吸う。善意が罠になる構造を持つ。鉱山の「ティオ」信仰と結びつき、植民地期の搾取の記憶を反映するとされる。

01

解説

概要

アンチャンチュ(アブチャンチュ、アンチャンチョとも)は、主としてボリビアのアイマラ地域に発する、伝説上のアンデスの吸血鬼である。

無力な老いた旅人、金歯の裕福なアイマラの女、誘惑的なグリンガ(外国人の女)、あるいは怪物的な動物の姿に変じる。通りかかった者が助けを申し出ると、アンチャンチュはこれを餌食にして血を吸い、失血あるいは病で死なせる。

なお本サイトの分類では、インカ/アンデスの体系に含めて扱う。

姿と習性

変身。 助けを必要とする者の姿をとる。

善意を狙う。 助けようとした者が犠牲になる。善意が罠になるという構造である。

場所。 洞窟、廃墟、鉱山、そして人の少ない道に住む。

風。 渦を巻く風とともに現れるとされる。

鉱山との結びつき

ボリビアの鉱山地帯において、アンチャンチュは鉱夫の恐れる存在である。

ティオ。 ポトシの銀山では、坑内に「ティオ」(叔父)と呼ばれる像が置かれる。

角と赤い顔を持つ悪魔の姿で、鉱夫はこれにコカ、酒、煙草を供える。

地下の主。 地下の富を支配する者に許しを乞わねば、鉱石は得られず、事故が起こるとされる。

スペインの悪魔と土着の観念。 ティオはキリスト教の悪魔の図像を借りているが、その機能はアンデス固有の「地下の主」の観念に基づく。

征服後に生まれた神格。 植民地期の強制労働のなかで形成された信仰であり、征服以前には遡らない。

血を吸う存在

アンデスには、血を吸う存在の伝承が複数ある。

ピシュタコ。 白人あるいは外国人の姿をした、人の脂を奪う存在である。

植民地の記憶。 これらの伝承は、征服者による搾取の記憶と結びつけて論じられてきた。

外から来る者への恐れ。 助けを装って近づく者、外国人の女——アンチャンチュの姿は、この恐れを反映する。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、アンチャンチュを表す図である。

関わる伝承

ピシュタコと系列をなす。ティオと鉱山の信仰に関わる。

文化的足跡

ボリビアの鉱山におけるティオの信仰は、今日も続いている。労働者の安全を祈る実践として、映画と民族誌に繰り返し記録されてきた。

なおアンデスの先住民の信仰は今日も継承されている生きた伝統であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q4664504 — 骨格データの出典