アンマ
アンマ · Amma
マリのドゴン人の至高の創造神。大地の女神と交わろうとして蟻塚に妨げられ、不完全な狐を生んだのち、正しい交わりによって人を生んだ。秩序のノンモと無秩序の狐の対がドゴン宇宙論の基本構造をなす。
解説
概要
アンマは、アフリカの部族の神格であり、ドゴンの宗教における至高の創造神である。
世界の創造についてのドゴンの物語は、天空神アンマが大地の女神と交わろうとしたが、巨大な蟻塚の形をした女神のクリトリスと結ばれることを妨げられ、不完全な子——砂漠の狐あるいはジャッカル——のみを生んだと語る。
そのため、ついに蟻塚を取り除いた。大地を去るにあたり、女性の割礼という宗教儀礼を定めた。蟻塚を取り除いたのち、神アンマは大地の女神とともに生み続け、人を生んだ。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
創造
別の版では、アンマは粘土を投げて世界を創った。あるいは、宇宙の卵から創造が始まった。
卵のなかに二対の双子——ノンモ——があったが、一方が早く出て卵を破り、世界に不完全さをもたらした。この早く出た者が狐(ユルグ)である。
秩序(ノンモ)と無秩序(ユルグ)の対が、ドゴンの宇宙論の基本構造をなす。
女性の割礼
神話が女性の割礼の起源を語るという点は、注意を要する。
ドゴンにおいて女性器切除が行われてきたことは事実であり、その正当化として神話が用いられてきた。今日、この慣行は国際的に人権侵害として批判され、マリでも法的な規制の対象である。
本項は神話の記述を紹介するが、慣行そのものを是認するものではない。
グリオールの記述をめぐって
ドゴンの宇宙論は、マルセル・グリオールの記録によって知られる。その精緻さと体系性は広く注目されたが、1990年代以降、ドゴン自身に確認できないという批判が提出された。
グリオールの記述をどこまでドゴンの伝統とみなせるかは、今日も議論が続いている。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ドゴンにおいて、至高神を像に表すことはない。
関わる神格・伝承
子はノンモと狐(ユルグ)。大地の女神と交わった。
文化的足跡
ドゴンの宇宙論は、アフリカの哲学的な思考の例として、20世紀の人類学と哲学において繰り返し論じられた。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。