人や家に取り憑き、病や禍、あるいは富をもたらすとされた霊的な存在の総称。また、それに憑かれた状態をも指す。多くは狐・蛇・犬などの動物の霊で、地方ごとに管狐、オサキ、人狐、犬神、トウビョウなどと呼ばれた。これらはしばしば特定の家系に結びつけて語られ、その家は「憑き物筋」「クダ持ち」などと呼ばれて、婚姻や交際を忌避される差別の対象となった。憑き物筋の家は、使役する霊が他家から財を運ぶために富むが、やがて増えすぎた眷属に食いつぶされて衰えるとも語られた。柳田國男や石塚尊俊らの民俗学は、この俗信の背後に、急に富を得た新興の家への周囲の羨望と警戒が働いていることを指摘している。憑いた霊を祓うには、山伏や巫女などの宗教的職能者があたった。
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