「見るな」と告げられた者が禁を破って覗き、その結果として相手を永久に失う説話の型。禁室型とも呼ばれる。日本神話ではイザナギが黄泉でイザナミの姿を見てしまう場面、トヨタマヒメが出産のさなかに本来の姿を見られる場面が代表で、いずれも見た側ではなく見られた側が恥じて去るという結末をとる。昔話の「鶴の恩返し」もこの型に属する。ギリシアのオルペウスが冥界から妻を連れ戻す途中で振り返る話、プシュケーが夫の顔を灯火で照らす話、中世フランスのメリュジーヌ伝説など、他文化にも広く分布する。ただし分布の広さは直接の伝播を意味しない。禁忌と違反という枠組みそのものが物語を動かす普遍的な仕掛けだと見るのが穏当である。
GLOSSARIUM · TABOO OF LOOKING