仏教で、悪業の報いとして衆生が苦を受けるとされる世界。梵語ナラカ(那落迦)の訳語で、六道の最下に置かれる。八熱地獄・八寒地獄など多層の構成が経典に説かれ、罰の種類と期間が細かく数え上げられる点に特色がある。中国に伝わると、死者の魂が泰山に集うという在来の観念や、生死簿を備えた冥界の官庁という発想と結びつき、十王が順に審理を担当する地下の役所として再編された。日本では源信『往生要集』が地獄の相を克明に描いて広く読まれ、地獄絵・六道絵の主題となった。裁きの場としての地獄は、インドの原形より中国で成った枠組みの影響が大きい。
GLOSSARIUM · NARAKA / DIYU