トコロシェ
ティコロシェ · トコロシ · ヒリ
南部アフリカのングニ系伝承に登場する小人の水の精霊。悪意ある人に呼び出され病や死をもたらすとされる。寝台を高くする防御法は、床近くの一酸化炭素中毒と対応している。
解説
概要
トコロシェ(ティコロシェ、ヒリとも)は、南部アフリカのングニ系諸民族——ズールー、コサなど——の伝承に登場する、小人のような水の精霊である。
いたずら好きで邪悪な精霊とされ、水を飲むか石を呑むことで姿を消すことができる。悪意ある人間が他人に災いをもたらすために呼び出すとされる。最も害の少ない場合は子供を怖がらせる程度だが、その力は病気や、ときに死をもたらすまでに及ぶ。
伝承
防御の手段としては、寝台を地面から高く上げること、そして使徒的な召命を受けた牧師や伝統的な治療師(サンゴマ)の介入が挙げられる。彼らはトコロシェを追い払う力を持つと考えられている。
この精霊の伝承は、人々が夜、円形の小屋(ロンダヴェル)で眠っているあいだに原因不明の死を遂げることを説明するために生じたとされる。伝統的に、人々は床の草の敷物の上で、暖をとるための薪の火を囲んで眠った。高地の氷点下の冬の夜、火は一酸化炭素を発生させ、床近くに溜まる。地面近くで眠る者が死に、高い寝台で眠る者が助かった——寝台を高くするという防御法は、この事実と対応している。
トコロシェは、迷信が人々の行動と社会に与える影響を批判するために、しばしば風刺的に言及される。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
この精霊をめぐって注目すべきは、伝承と実際の危険の対応である。寝台を高くすれば助かるという知識が、精霊への防御として伝えられてきた。原因が理解されていなくても、対処法は正しかったことになる。
姿を消す手段が水と石であるという点も、水の精霊としての性格を示す。
関わる伝承
ズールー、コサをはじめとするングニ系の民間信仰に属する。サンゴマ(伝統的治療師)の実践と結びつく。
文化的足跡
南アフリカでは、トコロシェは今日も日常語として生きている。寝台の脚の下に煉瓦を置く習慣は、都市部でも見られる。
新聞や政治風刺において「トコロシェ」は、根拠のない恐怖や陰謀論の比喩として用いられる。
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。