サソボンサム
サソボンサム · アサンボサム · アササボンサム
木に住み上から襲うアカン人の吸血鬼に似た存在。鉄の歯と長い脚を持ち、枝から垂らした脚で下を通る者を絡め取る。足は前後が逆で足跡から進む方向がわからない。同時に森の掟を守らせる秩序の維持者でもある。
解説
概要
サソボンサム(アサンボサム、アササボンサムとも)は、アカン人の民間伝承における吸血鬼に似た存在である。
ガーナ南部のアカン、およびコートジボワール、トーゴ、そして18世紀のジャマイカ——奴隷とされたアカン人による——の民間伝承に属する。
鉄の歯と長い髪を持ち、木に住み、上から襲うとされる。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
姿と習性
西アフリカの森には更新の掟があり、サソボンサムがこれを守らせた。森のなかの木に縄張りを占め、そこに住んで、その住処に迷い込んだ人を食う。木は彼らにとって縄張りである。
痩せた身体、赤い毛、鉄の歯、そして蝙蝠のような翼を持つと描かれる。とりわけ長い脚が特徴で、木の枝から垂らしておき、下を通る者を絡め取る。
足は前後が逆についているとされる。足跡から進む方向がわからないためである。
森の掟
サソボンサムが「森の掟を守らせる」という記述は、この存在が単なる害悪ではないことを示す。
森を荒らす者、掟を破って狩る者を罰する。狩人は森に入る前に、この存在への配慮を示した。
危険な存在が、同時に森の秩序の維持者でもあるという構造は、各地の森の精霊に共通する。
呪術との関係
サソボンサムは、悪しき呪術師(オバイフォ)の使いとされることがある。「サソボンサム」の語自体が、悪しき力を意味する語として用いられる。
「ボンサム」は「悪しきもの」を意味し、アカン語において善き神霊(ボソム)と対をなす。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
木の上から襲うという習性が、この存在を規定する。森を歩く者にとって、危険は上から来る。豹や蛇の襲撃の記憶が反映されているとみられる。
関わる伝承
オバイフォ(呪術師)と結びつく。ジャマイカのアカン系住民のあいだにも伝わった。
文化的足跡
ジャマイカに伝わったサソボンサムの伝承は、カリブ海の吸血鬼伝説の一つの源とされる。奴隷貿易が伝えた民間伝承の例である。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。