ピュグマリオーン
ピュグマリオン · ピグマリオン · Pygmalion
自ら彫った象牙の女像に恋したキュプロスの彫刻家。アプロディーテーの祭で「像のような女を妻に」と願い、女神が像に命を与えた。像の名「ガラテイア」は18世紀以降の付加。ショーの戯曲とピグマリオン効果の由来。
解説
概要
古典神話において、ピュグマリオーン(Pygmalion)はキュプロスの伝説上のフェニキア人である。オウィディウスの物語詩『変身物語』において最もよく知られ、そこではピュグマリオーンは自ら彫った像に恋した彫刻家である。
なお、カルタゴの女王ディードーの兄ピュグマリオーンとは別人である。
神話・物語
『変身物語』第10巻によれば、キュプロスの彫刻家ピュグマリオーンは、島の女たち——アプロディーテーを敬わなかったため女神に罰せられて娼婦にされたプロポイティデス——の淫らさを嫌い、女を避けて独身を貫いた。
そして象牙から、いかなる生きた女よりも美しい女の像を彫った。やがて自らの作に恋し、これに接吻し、話しかけ、衣と宝飾を与え、寝台に横たえた。
アプロディーテーの祭の日、ピュグマリオーンは供物を捧げ、「あの象牙の乙女のような女を妻に」と願った——像そのものを、とは口に出せなかった。女神は願いの真意を察し、祭壇の火を三度燃え上がらせた。
帰宅して像に接吻すると、象牙が温かくなり、柔らかくなり、指を押し返した。像は生きた女になった。二人は結婚し、娘パポスが生まれた。キュプロスの都市パポスの名祖である。
オウィディウスは像に名を与えていない。「ガラテイア」の名は、18世紀以降に付されたものである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ジャン・ラウー《ピュグマリオーン》である。
作り手が自らの作品に恋するという主題が、この物語を規定する。芸術が現実を超えて美しくありうること、そしてその美が作り手を捉えることが語られる。
女神が像に命を与えるという結末は、芸術と生の境界が神の力によって越えられることを示す。作品が生きるという願望の、最も古い表現の一つである。
関わる神格・伝承
アプロディーテーが願いを聞き届けた。娘はパポス。
文化的足跡
バーナード・ショー『ピグマリオン』(1913年)は、言語学者が下町の娘を淑女に仕立てる物語であり、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原作である。
心理学の「ピグマリオン効果」——期待が対象の成果を高める現象——は、この物語に由来する。