モジャジ
モジャジ · 雨の女王 · Modjadji
南アフリカ・バロベドゥ人の世襲の女王「雨の女王」。雲と降雨を操る力を持つとされ、味方に雨を敵に旱をもたらした。その宗教的権威が王国の独立を保った。ハガード『洞窟の女王』のアイーシャの着想源とされる。
解説
概要
モジャジ女王、すなわち「雨の女王」は、南アフリカ・リンポポ州のバロベドゥ人の世襲の女王である。
雨の女王は特別な力——雲と降雨を操る力を含む——を持つと信じられる。神秘的にして歴史的な人物として知られ、味方には雨を、敵には旱をもたらした。
植民地以前には国家を統治し、今日ではその位が続いている。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱うが、神格ではなく実在の王位である。
王位
モジャジは称号であり、代々の女王がこの名を受け継いできた。女王は公には結婚せず、何人もの「妻」を持つ。これらの女性は、王家への忠誠を示すために各地の首長から送られてきた人々で、その子どもたちは女王の子として数えられた。女王の位は女王の娘に受け継がれるが、その父が誰であるかは明かされない。伝承によれば、女王は人前に姿を見せず、年老いると自ら毒を飲んで死に、位を娘に譲ったとされる。ただし、実際にそのようなことが行われたかどうかについては議論があり、20世紀の女王については、ふつうの死が記録されている。
雨をもたらす力
女王が雨を降らせる力を持つという信仰は、周りの民族にも共有されていた。ズールーの王シャカも、モジャジに敬意を払い、雨を求めて使者を送ったと伝えられる。雨を操るとされたことが、この王国の独立を守った。周りの強大な王国も、雨の女王を攻めることは避けたのである。宗教の権威が、軍事の弱さを補っていたといえる。
ハガードの小説
イギリスの作家ヘンリー・ライダー・ハガードの小説『洞窟の女王』(1887年)の主人公で、不死の白人の女王アイーシャは、モジャジの噂に着想を得たとされる。アフリカに実在した女王が、ヨーロッパの冒険小説のなかでは「失われた白人の文明」の物語に置き換えられてしまったのであり、植民地時代のアフリカの描かれ方の典型といえる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、2003年4月、リンポポ州のケタコンの王宮で行われた戴冠式での雨の女王モジャジである。
実在の人物であるため、写真の掲載も控える。
関わる伝承
バロベドゥの王位。
文化的足跡
モジャジの称号は今日も存続し、南アフリカ政府によって伝統的指導者として認められている。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。