モジャジ
モジャジ · 雨の女王 · Modjadji
南アフリカ・バロベドゥ人の世襲の女王「雨の女王」。雲と降雨を操る力を持つとされ、味方に雨を敵に旱をもたらした。その宗教的権威が王国の独立を保った。ハガード『洞窟の女王』のアイーシャの着想源とされる。
解説
概要
モジャジ女王、すなわち「雨の女王」は、南アフリカ・リンポポ州のバロベドゥ人の世襲の女王である。
雨の女王は特別な力——雲と降雨を操る力を含む——を持つと信じられる。神秘的にして歴史的な人物として知られ、味方には雨を、敵には旱をもたらした。
植民地以前には国家を統治し、今日ではその位が続いている。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱うが、神格ではなく実在の王位である。
王位
モジャジは称号であり、代々の女王がこれを継ぐ。2025年時点で、モジャジ七世が即位している。
継承の規則。 女王は公に結婚せず、複数の「妻」を持つ。これらの女性は、王家に忠誠を示すため各地の首長から送られたものであり、その子は女王の子として数えられた。
女王位は、女王の娘に継承される。ただし、その父が誰であるかは公にされない。
幽閉と自死。 伝承によれば、女王は人前に姿を現さず、老いると自ら毒を仰いで死に、位を娘に譲るとされた。
実際に自死が行われたか否かは議論がある。20世紀の女王については、通常の死が記録されている。
雨をもたらす力
女王が雨を降らせる力を持つという信仰は、周辺の民族にも共有された。
ズールー王シャカも、モジャジに敬意を払い、雨を求めて使者を送ったと伝えられる。
政治的な力。 雨を操るとされたことが、この王国の独立を保った。周辺の強大な王国が、雨の女王を攻めることを避けた。
宗教的な権威が、軍事的な弱さを補ったという構造である。
ハガードの小説
イギリスの作家ヘンリー・ライダー・ハガードの小説『洞窟の女王』(1887年)の主人公アイーシャ——不死の白人女王——は、モジャジの噂に着想を得たとされる。
表象の問題。 アフリカの実在の女王が、ヨーロッパの冒険小説において「失われた白人文明」の物語に変換された。植民地期の表象の典型である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。実在の人物であるため、写真の掲載も控える。
関わる伝承
バロベドゥの王位。
文化的足跡
モジャジの称号は今日も存続し、南アフリカ政府によって伝統的指導者として認められている。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。