マラカスとマガンダ
マラカスとマガンダ · マラカス · マガンダ
タガログの創造神話の最初の男女で、名は「強い者」と「美しい者」を意味する。鳥がつついて割れた竹の二つの節から現れ、人類の祖となった。竹から人が生まれる神話は東南アジアに広く分布する。この名は20世紀の民族主義の時代以降に定着し、1970年代にはマルコス夫妻が自らをなぞらえた肖像画を作らせた。
解説
概要
マラカスとマガンダは、フィリピンのタガログの人々に伝わる創造神話で、最初の男と女とされる二人である。名は「強い者」と「美しい者」を意味する。鳥がつついて割った一本の竹から二人が現れ、人類の祖になったと語られる。この名で広く知られるようになったのは20世紀の民族主義の時代以降のことで、フィリピンの国民的な神話として扱われてきた。
なお本サイトの分類では、東南アジアの神話の体系に含めて扱う。二人が組で語られるため群記事とする。
竹から生まれた男女
はじめ、世界には海と空しかなかった。一羽の鳥が休む場所もなく飛び続けていたが、やがて海と空を争わせた。空が海に岩を投げつけて鎮めると、島々が生まれた。島には一本の竹が生えていた。鳥がその竹をつつくと竹が割れ、一方の節から男が、もう一方の節から女が現れた。これがマラカスとマガンダであり、二人から人類が生まれたという。
竹から人が生まれる
竹から人が生まれるという神話は、東南アジアからオセアニアにかけて広く見られる。竹から姫が見つかる日本の『竹取物語』との類似もしばしば指摘され、その源流を東南アジアに求める説もあるが、直接の伝播を示す証拠はない。
国民の神話へ
この神話はスペイン期の記録に断片的に残されているが、「マラカス」と「マガンダ」という名で呼ばれるようになったのは、20世紀の民族主義の時代以降とされる。フィリピンの独立運動や国民文化の形成のなかで、二人は「フィリピン人の祖」として広く知られるようになった。タガログの伝承が、国民全体の神話として組み直されたという点で、至高神バタラと同じ道筋をたどっている。
1970年代には、フェルディナンド・マルコス大統領と妻イメルダが、自らをマラカスとマガンダになぞらえた肖像画を描かせた。国民の神話が、独裁者の自己演出に用いられたのである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、竹から現れるマラカスとマガンダの彫刻である。
関わる伝承
バタラとともに、タガログの神話をなす。
文化的足跡
マラカスとマガンダは、フィリピンの教科書で最初に学ぶ神話として広く知られている。
なお東南アジアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。