アタヘンシック
アタヘンシック · 天の女 · スカイ・ウーマン
イロコイの天の女神で、上の世界の穴から落ちた。水鳥が受け止め、亀が背を差し出し、ジャコウネズミが命と引き換えに水底から取った泥がその背で広がって大地となった。北米を「亀の島」と呼ぶのはこの伝承による。
解説
概要
アタヘンシック(「天の女」としても知られる)は、イロコイの天の女神である。婚姻、出産、そして一般に女性に関わる事柄と結びつけられる。
伝説によれば、創造の時、アタヘンシックは上の世界に住んでいた。しかし木を掘り起こしたとき、地面に穴が残り、それは大きな空へ通じていた。その下には水があった。
アタヘンシックはこの穴から落ちた。落ちたのち、鳥たちが彼女を穴から水の上へ運び降ろした。
なお本サイトの分類では、北米先住民の体系に含めて扱う。
亀の島
落ちてくる女を、水鳥たちが翼で受け止め、大きな亀が背を差し出して、女はそこに降り立った。動物たちは、水の底から泥を取ってこようとした。カワウソもビーバーも試みて失敗し、最後にジャコウネズミが、ほんの少しの泥を持って浮かび上がり、そのまま息絶えた。その泥を亀の背に置くと、泥は広がって大地になった。大きな動物たちが失敗し、いちばん小さなジャコウネズミが命と引き換えに成し遂げたのである。
北アメリカ大陸を「亀の島」(タートル・アイランド)と呼ぶのは、この伝承による。今日、この呼び名は先住民の運動のなかで用いられている。
双子
アタヘンシックは娘を産み、その娘が双子を産んで死んだ。双子の一方(サプリング、タロンヤワゴン)はふつうに生まれて良いものを造り、もう一方(フリント、タウィスカロン)は母の脇を破って生まれて悪いものを造った。善い双子が人や作物を造れば、悪い双子は病や茨を造る。アタヘンシックは、悪い双子のほうを可愛がったとされる。
母系
イロコイの人々は母系の社会を営み、氏族の長は女性(クラン・マザー)が選ぶ。創造が一人の女性の落下から始まるという物語は、この社会のあり方と対応している。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる伝承
娘の子が善悪の双子。亀の島の創造。
文化的足跡
「タートル・アイランド」は、今日の北米先住民の政治運動と文学において、北アメリカ大陸を指す語として広く用いられている。
なお北米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。物語のうちには氏族や個人の所有物として扱われるものがあり、公開の場で語ることが適切でない場合がある。