アプ
アプー · 山の霊 · Apu
アンデスの山の霊。山が神の住処なのか山そのものが神なのかは研究上の論点である。コンドルと結びつき祖先とみなされ、八月に最も活動的とされる。今日も供物が捧げられる。
解説
概要
アプ(Apu)は、ペルーとボリビアのアンデス地方の伝統宗教と神話において、特定の山、火山、ときに孤立した岩の霊を指す語である。通常は人の姿の特徴を示し、地域の人々を守る。
クリスティアン・マーデルらの研究者が山を強力な神格と祖先の住処とみるのに対し、アナ・マリエラ・バシガルポやギジェルモ・サラス・カレーニョは、アプは山そのものだと主張する。
信仰
アプは自然の霊のうち最も強力なものとされ、男性とも女性とも考えられ、性格もさまざまで、守護者もあれば悪意あるものもある。八月に最も活動的で、互いに恋愛や家族の関係を持つ。
アプはワカ——神的なものの物質的な顕現で、神殿、祠、彫像、自然の地形、その他の物体や身体を含む——の一種である。しばしばコンドルと結びつけられ、祖先とみなされることが多い。
各地の主要な山がそれぞれのアプである。クスコ周辺ではアウサンガテとサルカンタイが最も強力なアプとされ、今日も巡礼の対象である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。アプは山そのものであり、像には表されない。
この観念を規定するのは、地形と神格の一致である。山が神の住処なのか、山が神なのか——研究者のあいだで議論があること自体が、アプという観念の性格を示している。人格化された存在としても、場所そのものとしても語られる。
八月に最も活動的であるという点は、アンデスの農暦に対応する。八月は大地(パチャママ)が開く月とされ、供物が捧げられる。
関わる神格・伝承
パチャママと並ぶ、アンデスの自然崇拝の中心にある。インカ帝国の国家祭祀——インティ、ビラコチャ——とは別の層に属し、帝国の滅亡後も民間で保たれた。
コンドルはアプの使者、あるいはアプそのものとされる。
文化的足跡
今日のアンデスにおいて、アプへの供物(デスパチョ)は日常的に行われる。コカの葉、酒、菓子などを包んで焼く儀礼であり、鉱山労働者、農民、旅行業者が行う。
なおアプの信仰は、キリスト教化を経つつも今日まで続く生きた伝統である。