カルタゴをはじめとする西地中海のフェニキア(ポエニ)系都市に設けられた聖域。壺に納めた幼児や仔羊・仔山羊の火葬骨を、タニトやバアル・ハンモンへの奉献を記した石碑の下に埋めた。カルタゴの遺構だけで二万を超える壺が見つかっている。「トフェト」の語自体は旧約聖書がエルサレム近郊の一地を指して用いたヘブライ語で、近代の研究者がこれらの遺構に当てた呼称である。ここで子供が神々に犠牲として捧げられたのか、それとも夭折した幼児を葬る墓地であったのかは、二十世紀以来の論争が続いている。ディオドロスら古代の記述と碑文中の語(mlk)を根拠に犠牲とみる立場(ステイジャー、シェラら)と、火葬骨の年齢分布が高い乳児死亡率と矛盾せず、記述は反カルタゴの誇張だとみる立場(シュヴァルツら)が対立し、決着していない。シチリアのモツィアやサルデーニャのタロスにも同種の遺構がある。
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