殺害された神や少女の遺体の各部から、栽培植物が生じたと語る起源神話の類型。ドイツの民族学者アドルフ・イェンゼンが、インドネシア・セラム島のウェマーレ族に伝わる少女ハイヌウェレの伝承にちなんで名づけた。芋を切って地に埋めれば再び実を結ぶという、根栽農耕の経験がその底にあるとみられる。東南アジアを中心に太平洋から南北アメリカまで広く分布し、日本では『日本書紀』の保食神、『古事記』の大宜都比売の説話がこの型に属する。ただし日本の例で生じるのは芋ではなく穀物と蚕であり、稲作と養蚕を軸とする社会に合わせた変形と考えられている。
GLOSSARIUM · HAINUWELE-TYPE MYTH