ニップルを中心に伝わったシュメール語の神話。若い女神ニンリルは母に忠告されながらもエンリルと交わり、月神ナンナを身ごもる。エンリルは「五十の大神」と「運命を定める七柱」に穢れた者と裁かれ、ニップルを追放される。ニンリルは後を追い、冥界へ下る道すがら、門番・冥界の河の男・渡し守に姿を変えたエンリルとさらに三度交わって、ネルガル、ニンアズ、エンビルルを産む。三柱は、月神を地上へ送り返すための冥界への身代わりであると解される。最初の交わりを強姦と読むか婚前交渉と読むかは論争が続いており、続く三度については合意のうえと見る説が有力である。同じ夫婦の結婚を語る『エンリルとスド』とは、女神の描かれ方が対照的である。
GLOSSARIUM · ENLIL AND NINLIL