城壁と塔をかたどった冠。頭上に都市そのものを載せることで、その神格が都市を守り抱える存在であることを示す。ヘレニズム時代の東地中海で、都市の運命を体現する女神テュケーの標識として定着し、大地母神キュベレーの図像にも早くから用いられた。ローマでは各都市や属州の擬人像がこの冠をかぶって表され、貨幣や記念建造物に繰り返し現れる。ローマ軍において城壁に最初に取りついた兵に授けられた武功章コロナ・ムラリスも同じ語で呼ばれるが、こちらは冠の形を借りた褒賞であって、神格の標識とは用途が異なる。
GLOSSARIUM · MURAL CROWN