幻を作り出す力。ヴェーダでは神々やアスラが用いる不思議な能力を指し、変身、分身、姿を消す術などがこれにあたる。『ラーマーヤナ』のインドラジットが姿を隠して戦い、偽のシーターを作り出すのはマーヤーの行使である。哲学の側では意味が大きく転じ、とくにアドヴァイタ・ヴェーダーンタにおいて、唯一の実在であるブラフマンの上に多様な現象世界を現出させる力、あるいはその見かけそのものを指す語となった。単なる「幻覚」と訳すと後者の含意が落ちるため、原語のまま用いられることが多い。
GLOSSARIUM · MAYA