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稲生物怪録

備後国三次(現・広島県三次市)の少年、稲生平太郎(のちの武太夫)が、寛延2年(1749年)の7月、一箇月のあいだ毎夜おびただしい妖怪に見舞われながら、ついに屈しなかったと語る怪談。実在の人物の体験として記され、多くの写本と絵巻が作られて各地に広まった。三十日にわたって現れる怪異は日ごとに趣向を変え、巨大な女の首、無数の目を持つもの、壁に浮かぶ顔などが次々と平太郎を襲う。最後の夜、魔王山本五郎左衛門が姿を現し、少年の胆力を賞して立ち去る。壁に目と口が現れて人を睨む場面は、のちに塗壁の祖形かとする説を生んだ。国立歴史民俗博物館の『稲生物怪録絵巻』をはじめ、平田篤胤の『稲生物怪録』など諸本が伝わる。

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