「アウグストゥスの平和の祭壇」。ヒスパニアとガリアから帰還した皇帝を迎えて前13年に元老院が決議し、前9年1月30日にマルスの野で奉献された。大理石の囲壁の内外を浮彫が覆い、南北面には奉献の行列に連なる皇帝一族と神官たちが、東西面には四つの神話的・寓意的な場面が配される。行列の人物を実在の個人として同定できる点が画期的で、帝政初期の図像政策を読み解く基本資料となってきた。東面の一枚は、豊かな実りに囲まれて二人の幼児を膝に抱く女神を刻み、古くから「テッルス浮彫」と呼ばれてきたが、この女神をテルースとみるか、イタリア、パクス、ウェヌスとみるかは今日も決着していない。祭壇は近代に断片が各地へ散逸し、1938年にムッソリーニ政権下で復元・再建された。
GLOSSARIUM · ARA PACIS AUGUSTAE