イヌイトの宗教における冥界、およびそこに住む死者の霊(「我らの下に住む者たち」の意。イドリラギジェンゲトとも)。陸と海の下にあるとされる。
死者の魂はアドリヴンで清められ、そののち月の国(クイドリヴン、「最も上に住む者たち」)へ旅立ち、そこで永遠の安らぎを得るとされた。
アドリヴンには、海の獣の母セドナ、トルンガルスク、動物や自然物の霊トルナト、死者の魂が住む。通常、凍てついた荒れ地として描かれる。セドナがこの地を治め、その父アングタが死者を運ぶとされる。
地域によって冥界の観念は大きく異なり、良き者と悪しき者の行く先を分ける伝承、死に方によって行く先が決まる伝承もある。今日伝わる体系的な記述の多くは、19世紀末から20世紀初頭の民族誌、とりわけフランツ・ボアズとクヌート・ラスムッセンの記録に基づく。